甲状腺に袋状のものができ、中には水のような液体が溜まっているものをいいます。小さいと外から触ってもわかりませんが、大きくなると「しこり」として触ることができます。ほとんどは痛みなどの症状はありませんが、まれに急に大きくなって痛みを感じることがあります。生命にはかかわりがありませんので経過を見ますが、美容上の理由で注射針と注射器で中の液状成分を吸い出したり、アルコールで固めたりします。
超音波検査で診断できます。必要に応じて細胞検査をします。
注射針と注射器で中の液状成分を吸い出します。1回から数回で多くの場合、小さくなったまま、液体が溜まらなくなることがあります。何回吸い出しても溜まる場合はエタノール注入療法(アルコールで固める治療)も行います。のう胞が大きくエタノール注入療法も効かない場合は、手術療法を行います。嚢胞の中に癌細胞があった場合は手術療法が必要です。
甲状腺の中の濾胞細胞という甲状腺ホルモンを作っている細胞が、腫瘍となったものですが良性腫瘍です。 「しこり」以外にほとんど症状がありません。 カプセルという皮膜に包まれながらゆっくりと発育していきます。
血液検査、超音波検査、細胞検査などを行います。細胞検査では悪性の甲状腺濾胞癌との区別が難しいことがあります。癌でないかどうかは、細胞検査以外に触診と超音波検査が大切です。
良性腫瘍ですので、手術は行わずに経過を観察するのが基本です。年に1-2回、超音波検査と血液検査を行います。必要に応じて細胞診も行うこともあります。濾胞腺腫が大きくなるにはTSH(甲状腺刺激ホルモン)が関係していて、甲状腺ホルモンを投与して自分のTSHを下げることで、腫瘍が縮小することがあります。約2-3割の患者様で効果があるといわれています。 細胞検査で悪性を診断されなくても手術する場合があります。
「腺腫様」とは「腫瘍のような」という意味で、腫瘍のように見えるが腫瘍ではない甲状腺の「しこり」のことです。甲状腺の中の濾胞細胞という甲状腺ホルモンを作っている細胞が、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の刺激を受けて増えた(過形成といいます)ものです。一個の場合もありますが、多くは甲状腺全体に複数の「しこり」ができて甲状腺が大きく(甲状腺腫)なります。「しこり」以外に症状はほとんどありません。
血液検査、超音波検査、細胞検査などを行います。超音波検査で「しこり」がたくさん見られた場合はこの病気を疑います。
良性腫瘍ですので、手術は行わずに経過を観察するのが基本です。年に1-2回、超音波検査と血液検査を行います。必要に応じて細胞診も行うこともあります。TSH抑制療法(甲状腺ホルモンを投与して自分のTSHを下げる治療法)も行われることもありますが、効果はあまり期待できません。基本的には経過を観察しますが手術する場合があります。
濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫は、甲状腺ホルモンを作っている濾胞細胞が腫瘍になったり増えたりしてできた「しこり」です。これらの「しこり」の中に甲状腺ホルモンをつくるものがあり、機能性甲状腺腫と呼ばれます。「しこり」が1個の場合、Plammer病や中毒性単結節性甲状腺腫とも呼ばれ、「しこり」が複数の場合は中毒性多単結節性甲状腺腫とも呼ばれます。血液中の甲状腺ホルモンは多くなりますが、一般的に軽症です。
血液検査で甲状腺ホルモン(フリーT3、フリーT4)が増えていて、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が下がっています。甲状腺シンチ検査で、甲状腺ホルモンを作っている部位が強く写し出されます。超音波検査、細胞検査などを行います。
一般的に手術が勧められます。手術により甲状腺ホルモンをつくっている「しこり」を切除します。場合によっては、放射性ヨード内用療法や抗甲状腺薬で甲状腺ホルモンを下げる治療も行われます。
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